誰かに支えられないと生きていけない人なんかじゃない。
ただ、私はこの人を支えたいと思ってる。
ルール違反の人
「ねぇ、なにコレ。」
ヒル魔くんの鞄が開いてるから覗いてみたら、煙草が入ってた。
それを取り出して、ヒル魔くんの鼻先に押し付ける。
彼は特に取り乱したりせずに私の手を払った。
「あなた未成年よ。」
パソコンの画面から目を離さない。
こっちみればいいのに。
ずるいよ、ヒル魔くん。
「これは預かっておきます。」
その煙草を私は自分の鞄に入れた。
「別に吸ってねえよ。」
彼はパソコンを閉じて椅子から立ち上がった。
そして私に手を突き出して返せ、と言った。
私は首を振る。
「返せ。」
また一段と迫力のある声。
人を脅すときとは全然ちがう、私に向けた苛立ちの声。
「・・・嫌よ。」
ヒル魔くんは一つ、溜息を吐いた。
呆れるのはこっちよ。人の気も知らないで。
「チームの要が煙草なんて吸って、何考えてんのよ。」
「吸ってねえ。」
「またそんないいわけ。」
彼は腕を組んだ。
挑発するように私を睨んで凄んだ。
他にもね、たくさん注意したいことはあるのよ。
ノーネクタイ、ピアス、たくさんの機関銃、みんなへのいじめとか。
「俺が吸うと思ってんのか。」
思わず首を横に振った。
「じゃあいいだろ。」
ヒル魔くんはまた手を差し出した。
部室の明かりが映えると思ったら、外は随分暗かった。
練習が終わってから結構たったもんね。
みんなはとっくに帰っちゃったし、二人きり。
「聞いてんのか。」
私は頷く。
鞄から煙草の箱をだして彼に渡す。
彼はぶっきらぼうにそれを受け取って、ブレザーのポケットにしまった。
「今回だけよ。次は取り上げます。」
ヒル魔くんは何も言わないで、部室のドアを開けた。
私も慌ててそれに続く。
鍵を閉めて、先を歩く彼目指して早足になる。
「糞マネ、お前だけだ。」
ふと、ヒル魔くんが止まってこっちに向いた。
「え?」
もうどこの部活も帰ったみたい。
すごく静かで、私たちだけしかいないんじゃないかな。
そう錯覚する。
ああでも、
そうだったらいいな。
「俺にそうやって指図してくんのは。」
心なしか彼が笑ってる気がする。
そうね、私だけかもしれない。
私だけ、彼に踏み込んで、うるさく言って。
悪いとは思ってないよ。
彼がチームを抱えるその腕で、私を抱えるように、
もたれかかる肩を、彼に提供してあげたい。
「一生、お前だけが指図してろ。」
ノーネクタイ、ピアス、たくさんの機関銃、みんなへのいじめ、そして煙草。
ルール違反を犯す彼に指図したって、なにもかわらない。
押さえ込んだら彼じゃない。
支える腕の許容範囲を知らない人を好きになる。
こんなささいなことで人生なんて狂ってしまうのね。
Fin
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自分的には失敗作でした。
アイディア浮かんでないのに無理矢理書いたオチです。
ヒル魔さんが真面目におかしいですもん。
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